敷金の定義
ここでは賃貸借契約でよく問題になる敷金について解説します。
敷金の定義ですが、賃借人が借りた家屋を明け渡すまでに生じた賃貸人に対する一切の債権を担保するものである、とされています。
ここでいう一切の債権とは、賃貸人の賃借人に対する未払賃料債権と損害賠償債権の2つが主なものとしてあげられます。
未払賃料債権はその存否が明確であるので、敷金返還に際して問題となるのは損害賠償債権であることがほとんどです。
そしてこの損害賠償債権は、原状回復義務から生じるものです。
ちなみに、敷金には特約のない限り利息を付すことはできません。
敷金返還の時期
賃借人が賃貸人に敷金の返還を請求するには、賃借物の明け渡しが完了していることが必要とされます。
つまり賃借人は賃貸人に対して、敷金を返還しなければ家屋を明け渡さない、というような主張できないことになります。
紛争の生じるわけ
最近は敷金のない賃貸借契約も見られますが、不動産の賃貸借においては賃貸人に敷金を交付するのがまだまだ一般的です。
賃借人も当然のように敷金を支払うのですが、多くの場合で賃貸人と賃借人の間で敷金に対する認識が違うため、いざ退去する時点になり紛争が発生することになります。
賃借人がどの範囲まで原状回復をする義務を負うのか、賃貸人に対してどれだけの損害賠償義務を負うのか、といった認識の違いから敷金返還をめぐる紛争が起きるのです。