使用収益させる

使用収益させる義務

義務と権利のイメージ

使用収益させるとは、マンションなら賃借人に部屋を明渡し生活ができるようにすること、テナントビルならテナントスペースを賃借人に明渡し、店舗活動または事務所活動ができるようにするという意味です。
また賃借人に貸した専有部分以外にも、専有部分の使用に必要な範囲で、廊下やゴミ置き場等の共用部分を使用させる義務を負います。

住居用建物

賃貸借契約では、貸主は借主に対し賃借物を賃貸借の目的にかなった状態で使用収益させる義務を負っています。
使用収益させる義務の具体的な中身については、賃借物がマンションのような住居用建物である場合には、借主は安全で平穏に使用ができることが当然の前提としてあります。 従って住居用建物の貸主には一定の安全性、平穏さを保ち、円満な使用収益ができる状態で借主に建物を引き渡す義務があると解されます。
具体的には、賃借している建物の防犯対策、住居部分以外の廊下や階段の照明などの故障、郵便ポストなども対象となります。

使用収益に必要な修繕

さらに貸主は、賃貸物の使用収益に必要な修繕をする義務を負っています。
この義務は賃借物の現状を維持するために、法律上でも家主に課せられたものです。 部屋の中の照明器具やカーテン、消耗品類などは賃借している住居人の負担となりますが、壊れてしまった部屋の鍵、ベランダの手摺、崩れ落ちた壁、雨漏りなどは賃貸人の負担で修繕する必要があります。
これを怠って使用収益させる義務を尽くさなかった場合は、損害賠償責任が発生して、損害賠償を賃借人が請求することになる場合もあります。